コラム

抵抗器のサージ・パルス電圧について

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抵抗器には定格電力と抵抗値によって決まる「定格電圧」があります。基本的にこの定格電圧を
超える電圧は印加できませんが、パルス・サージに対しては各社で許容範囲を規定している場合
があります。

当社では下記のような規定を設けており、条件に適合すれば定格電圧を超えた使用ができます。
 1. 最高過負荷電圧
 → 2.5秒間の短時間過負荷規定です。用語解説も参照ください。
 2. ワンパルス  → 1秒以下のワンパルス規定です。
 3. 繰り返しパルス

  (個別詳細に関しては使用前に別途カタログ・仕様書・問い合せ等でご確認ください。)

 

ここでは2.のワンパルス 3.の繰り返しパルスについて、パルス使用判定フローチャート、それぞれの考え方及び、具体例について説明します。

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Ⅰ.パルス使用判定フローチャート

抵抗器にパルスが印加される場合には、下記フローチャートで使用可否判定を行ってください。
ただし、本フローチャートによる判定は目安ですので設計の際は実機での確認を十分に行ってください。

Ⅱ.ワンパルス

通常抵抗器に印加されるパルスは、電圧または電流波形として測定されます。「ワンパルス限界電力」は矩形波として規定されていますので、測定された波形が矩形波以外の場合は、矩形波に変換します。(変換方法は、【波形が矩形波ではない場合】をご参照ください。)得られた矩形波を電力に波形に変換し、シリーズ毎の「ワンパルス限界電力」を用いて評価します。
パルス保持時間からパルス限界電力を求めます。負荷は、パルス限界電力以下でご使用ください。

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尚、「ワンパルス限界電力」はシリーズ毎に設定されていますので、ご検討の際はお問い合わせください。
→お問い合わせはこちら

【波形が矩形波ではない場合】

印加波形が矩形波でない場合は下記を参考に換算してから検証をすることができます。
(繰り返しパルスにも適用できます。)

 

参考文献: EIAJ RCR-2121B 電子機器用固定抵抗器の使用上の注意事項ガイドライン(JEITA)

Ⅲ.繰り返しパルス

パルスに繰り返しがある場合、抵抗器に印加される電圧、電流または電力が次式によって求め
られる“耐パルス限界電圧(電流)”または“耐パルス限界電力”以下であることを確認する必要が
あります。



fomula_waveform            

ここで
Vp:耐パルス限界電圧(V)
Ip:耐パルス限界電流(A)
Pp:耐パルス限界電力(W)
P:定格電力(W)
R:抵抗値(Ω)
T:繰り返し周期(s)
t :パルス持続時間(s)
K:抵抗器種類による係数(下表による)
【Vr:定格電圧(V)、Ir:定格電流(A)】

注1)T>10の場合はT=10(s)、T/t>1000の場合はT/τ=1000とする。
注2)T>10かつT/t>1000の場合はワンパルス限界特性を適用する。
注3)Vp<Vr (Ip<IrまたはPp<P)となる場合は、Vr (Ir, P)をもってVp (Ip,Pp)とする。
注4)上記のパルス限界電圧は周囲温度が70℃以下の場合に適用され、周囲温度が70℃を

   超える場合には負荷電力軽減曲線を用いて電力(P)を軽減して下さい。
注5)求めたパルス限界電圧に対して使用期間、条件を考慮して十分なマージンをとっていただく
   ことをお願い申し上げます。
注6)Vp>各シリーズ最高過負荷電圧の場合は、最高過負荷電圧をもってVpとする。

弊社の主な製品の係数Kは下記の通りです。

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但し書きや注記が多くあり、煩雑な内容に見えますが、Vp計算式の意味するところは次の通りです。

「パルス一発当たりで破壊しないこと。平均電力が抵抗器の定格以下で(マージン)あること。」

Ⅳ.具体例

電源回路に使用される代表的な抵抗器について以下にしまします。スイッチング電源は、スイッチング素子を用いて電力の変換・調整を行っている電源装置の一つで、電力の変換・調整を行うことで、出力を安定化させています。このスイッチングにより、ゲート用抵抗器、電流検出抵抗器、スナバ用抵抗器には抵抗器にはにパルス電力が印加されます。また、電源のON/OFF時には、突入電流電流防止用抵抗器、放電用抵抗器には、大きなパルス電力が負荷されます。

ここでは電流検出抵抗器について判定例を示します。

尚、パルス電力の評価は、モデル化された波形の計算値であり、ご使用に際しては、安定して長くご使用できるよう、実機でのご確認及び使用期間、条件を考慮して十分なマージンをご検討いただけますようお願いいたします。 

Ⅳ.耐サージ・パルス用途向け抵抗器の紹介

UL、c-UL、EN規格取得品もラインナップ。電源回路や高圧回路に最適な抵抗器を紹介します。

[1]豊富なサイズと幅広い抵抗値ラインナップ
    特殊電力型耐サージ抵抗器 ASR/ASRMシリーズ
  http://www.akaneohm.com/products-data/asr/

[2]UL、c-UL規格取得で電源回路(一次、二次)に最適
  特殊電力型放電用抵抗器 SPR/SPRMシリーズ
  http://www.akaneohm.com/products-data/spr-sprm/

[3]EN、UL、c-UL規格取得で電源回路(一次、二次)に最適
  特殊電力型放電用抵抗器 SPRW1シリーズ
  https://www.akaneohm.com/products-data/sprw1/

[4]耐サージチップ抵抗
  耐サージ用角型厚膜チップ抵抗器 CRSシリーズ
  http://www.akaneohm.com/products-data/crs/

[5]電源の突入防止回路に最適。超小型1W品も追加
  温度ヒューズ内蔵セメント抵抗 RWTシリーズ
  http://www.akaneohm.com/products-data/rwt/

    安全規格品(UL、CSA)はこちら RWT05シリーズ
    http://www.akaneohm.com/products-data/rwt05a/

[6]突入防止回路や電流検出に最適。無誘導タイプもラインナップ
  不燃性小型巻線抵抗器 RWF/RWFNシリーズ
  http://www.akaneohm.com/products-data/rwf/

*耐サージ・パルス用抵抗器一覧はこちら http://www.akaneohm.com/prd_cat_use/surge/

注意:本資料は予告なしに変更する場合がございます。
   ご検討に際しては、最新情報をご確認ください。→お問い合わせはこちら

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弊社では実際の波形における使用可否判定も賜っております。お気軽に下記からお問い合わせください。

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