コラム

抵抗器 カタログの読み方と解説

■難しくはありません。 ただ、勘違いしやすい項目もある抵抗器の仕様

抵抗器はその名の通り、電気的に抵抗を持つ部品で、最も基本的な受動部品です。
カタログ等で部品の仕様を確認する際も、半導体部品ほど複雑な内容はありません。
ただ、意外と勘違いしやすかったり、または、普段ほとんど意識しないけれど、知って
いると役に立つ内容もあります。ここでは抵抗器カタログの読み方の基本とポイントを
解説します。

 

■代表的な製品仕様(電気特性)一覧と用語解説

                表1 RDシリーズの仕様一覧
spectable

(1)定格電力
  定格周囲温度において連続して負荷できる電力の最大値。

(2)最高使用電圧  
  抵抗器又は抵抗素子に連続して印加できる直流電圧又は交流電圧(商用周波数実効値)
  の最大値。ただし、臨界抵抗値以下では印加できる電圧の最大値は定格電圧となります。
 

(3)最高過負荷電圧
  過負荷試験(JIS C 5201-1 4.13)において、5秒間印加可能な過負荷電圧の最大値。 
  通常、過負荷試験における印加電圧は定格電圧の2.5倍です。ただし最高過負荷電圧を
  超えない電圧とします。
point 

 その1 最高使用電圧と最高過負荷電圧の勘違い

   稀に下記のような勘違いをされているケースがあります。

   【誤】 最高使用電圧は抵抗値に関係なく印加できる。
            ↓
   【正】 臨界抵抗値未満は計算上の定格電圧が、印加できる最大値となります。
       例として、RD16の仕様をグラフにすると下記のようになります。
   
   最高過負荷電圧についても同様に、印加できるのは定格電圧×2.5または
   最高過負荷電圧のいずれか低い方になります。

mwv_j

(参考)
  シャント抵抗器など、抵抗値上限が100Ω以下の製品は計算上の定格電圧が
  低いので最高使用電圧や最高過負荷電圧を既定しないものもあります。


(4)抵抗値範囲
  製造・販売可能な抵抗値範囲です。
  カスタマイズも賜りますのでお気軽に問い合わせください。

(5)抵抗値許容差
  公称抵抗値に対する保証誤差範囲です。
  用途、品種によって±0.05%~±20%のラインナップがあります。

(6)E系列
  抵抗器やコンデンサなどで利用されている数字で、JIS C 5063で定められた数列です。
  抵抗器の場合、抵抗値の公称値として使用されます。数列は1から10までを等比分割
  した数字で、分割数に応じてE6、E12、E24、E48、E96、E192などがあります。

  分割方法は例えばE24系列の場合、公比が24√10 (=1.1006941・・・)を基にした数列と
  なっています。

  許容差1%品の場合はE96やE192と、5%品の場合はE12やE24と組み合わせることで
  効率的な設計、部品供給ができます。
point 

 その2  E系列が等比数列である理由

  E6系列と抵抗値許容差±20%を例に説明します。

  (1)抵抗値許容差が同じでも抵抗値によって抵抗値範囲は異なります。   1-10_j

 

  (2)等差数列だと抵抗値の重なりが多く、使う側もメーカー側も無駄が発生します。
tousa_j
 
  (3)等比数列にすることで重なりが少なく効率的です。   touhi

 

  表2はE系列の事例です。

               表2 数列例(E6、E24、E96)   e-series

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

→関連記事 抵抗器の表示、カラーコード、読み方

→その他の用語解説はこちら

→定格・抵抗値から素早く製品を検索するにはこちら

 

  • 取扱商社一覧
  • カタログ請求
  • お問合せ