コラム

電蝕とは~当社の取り組み

「電蝕」「陽極酸化」でお困りではありませんか?

「電蝕」とは?・・・・・そのメカニズム

関連コラム 「電蝕の詳しいメカニズムと対策・電蝕を考慮した設計
                 「メタルグレーズ抵抗の寿命は48,000年!?

 

抵抗器における電蝕(または電食、腐食)とは、抵抗皮膜と水分の化学反応のことを指します。
抵抗器は表面に保護塗装を施していますが、湿度の高い場所では湿気(水)や
イオン性不純物が抵抗内部に浸透し、抵抗皮膜に付着します。そこに電気を流すと、
水がイオン性不純物と電気により分解されて水素イオンと水酸化物イオンに電離します。
この水酸化物イオンが抵抗皮膜を分解してしまい、抵抗値が変化します。

一般に、電蝕では+極(陽極)側の抵抗皮膜が浸蝕されます。
特に炭素皮膜抵抗での発生事例が多く、稀に金属皮膜抵抗でも発生します。
抵抗体である皮膜が酸化することから陽極酸化とも呼ばれます。(例: C+O2→CO2)
皮膜型抵抗器においては、抵抗値が高くなるほど抵抗皮膜が薄くなり、これらの影響を受けやすくなります。

電蝕イメージ

高温多湿や有害ガス環境下での使用、抵抗器を樹脂やゴム管で封入した場合は電蝕の発生確率が上昇します。
また電子、電機機器の製造工程においても水分や不純物が付着する可能性があります。
そのため、抵抗器を使用する場所や製造工程にも注意を払う必要があります。

 

当社の取り組み

電蝕対策としてもっとも効果的なのはメタルグレーズ系厚膜抵抗を用いることです。
当社をはじめ、各抵抗メーカーはこれらの製品をラインナップしています。
しかしながら、メタルグレーズ系厚膜抵抗は一般の炭素皮膜抵抗や金属皮膜抵抗に比べ高価なため、
積極的な採用は多くありません。
現状では、最初に炭素皮膜抵抗器や金属皮膜抵抗器を採用しておき、問題が発生した箇所のみ
メタルグレーズ系厚膜抵抗に置き換えるという例が多いようです。

そこで当社ではあるお客様と共同で抵抗器の材料、工程を一から見直し、
独自の耐電蝕性能加速評価試験で性能改良を重ねた結果、
耐湿型抵抗器(HDMシリーズ)の開発に成功しました。
HDMシリーズは電蝕の発生し易いと言われる炭素皮膜抵抗をベースにしています。
炭素皮膜抵抗器がベースのため汎用性が高く、電蝕問題で長年お困りの
多くのお客様にご愛顧いただき、2002年の発売以来、市場故障ゼロを更新中です。

また、金属皮膜抵抗器をベースにした耐湿型抵抗器(RNVシリーズ)の開発にも成功しました。
RNVシリーズは金属皮膜特有の高い抵抗値精度(1%)と小さいTCR(100ppm/℃)を実現しております。

さらに、当社ではこれらの経験とノウハウを全製品の生産に生かし、工場全体を
“耐電蝕工場”化して品質の向上に努めています。

電蝕対応製品のご紹介

HDM 高信頼性耐湿型特殊皮膜抵抗器

RNV 高電圧耐湿型金属皮膜抵抗器

 

関連コラム 「電蝕の詳しいメカニズムと、電蝕を考慮した設計
                 「メタルグレーズ抵抗の寿命は48,000年!?

 

 

  • 取扱商社一覧
  • カタログ請求
  • お問合せ