モーターの回転数を電流で制御しています。
今までは電流検出用抵抗として巻線抵抗器を使用していました。しかし、今回試作した機種では
巻線抵抗の寄生インダクタンスにより電圧波形が歪んで、正確な電流を検出できなくなりました。
電流検出に使える、寄生インダクタンスの小さい抵抗器はないでしょうか?
上記の課題に対し、弊社では無誘導巻きの巻線抵抗器を提案しました。巻線抵抗器には、
『通常巻き』と呼ばれる一般的な構造と、『無誘導巻き』と呼ばれる特殊な構造があります。
無誘導巻きの場合、寄生インダクタンスを大幅に減らすことができます。この抵抗を採用
することにより、顧客の基板設計に変更を加えずに寄生インダクタンスを減らすことが可能
となり、無事にモーターの回転数を制御することができるようになりました。
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通常巻き使用時に見られたリンギングがなくなりました。
無誘導巻きは2本の抵抗線を方向が逆になるように巻いた構造です。(図1)
巻き数が同じで、流れる電流も同じであれば発生する磁界は大きさが同じで
向きが逆になります。(図2)
結果として磁界を打ち消しあいインダクタンスを小さくすることができます。
図1 無誘導巻き
図2 巻線で発生する磁界
抵抗器のインダクタンスは電流検出波形に影響するだけではなく、高周波における
抵抗値(インピーダンス)そのものにも影響します。
低インダクタンス製品を使用することで高周波領域までよりフラットなインピーダンス
特性を得ることができます。
参考データ: 周波数-インピーダンス特性
(測定機器:インピーダンスアナライザ HP4194A)
※ Rf/R0: 直流インピーダンス (R0) と高周波インピーダンス (Rf) の比
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